TECHNICAL MANUAL — 社内教育用 技術解説

ハトムギ殻をペレット堆肥化、JAいなばの資源循環事例

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富山県のJAいなばは、ハトムギ生産量日本一の産地として知られますが、脱穀時に発生する殻の多くが未利用のまま廃棄されてきました。2025年9月、この課題を解決するためペレット化設備を試験稼働させ、もみ殻堆肥と混合して粒状の有機肥料に加工する取り組みを開始しています。

科目: 共通科目(土づくり・環境制御) / 栽培区分: 共通

本記事では、この取り組みの背景にある土壌化学的な原理と、営農現場でペレット堆肥を扱う際の判断基準を整理します。

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結論:未利用資源のペレット化が散布効率と地力増進を両立させる

JAいなばが導入したペレット化設備は、ハトムギの殻ともみ殻堆肥を混合し、粒状に加工するものです。ペレット化により従来の堆肥散布機での利用が可能になり、農家が圃場へ均一に有機肥料を散布できるようになります。資源循環と散布作業の省力化を同時に実現する点が特徴です。

原理:なぜペレット化が有効なのか

未利用の殻や有機物をそのまま圃場に投入すると、嵩が大きく均一散布が難しいうえ、分解の進み方にムラが生じやすいという課題があります。ペレット状に圧縮加工することで、

  • 粒度が均一になり、汎用の堆肥散布機での散布精度が向上する
  • もみ殻堆肥と混合することで有機物の発酵・腐熟バランスが安定しやすくなる
  • 本格稼働後は土壌の物理性改善(通気性・保水性の向上)や地力増進といった効果が見込まれている

といった利点があるとJA側は説明しています。これは、堆肥化した有機物が土壌団粒構造の形成を助け、土壌の物理性を改善するという、堆肥利用全般に共通する基本原理に沿ったものです。

現場での手順・判断基準(チェックリスト)

今後、同様の資源循環型堆肥を導入する際に営農現場で確認すべきポイントは以下の通りです。

  • 原料となる未利用資源(殻・もみ殻等)の発生量と回収体制を把握しているか
  • ペレット化設備の処理能力と、管内の栽培面積・堆肥需要量が見合っているか
  • 既存の堆肥散布機でペレット粒径に対応できるか確認しているか
  • 肥料価格高騰時の代替・補完資材としてコスト試算を行っているか
  • 本格稼働までのスケジュール(改修工事・設置時期)を踏まえた導入計画を立てているか

慣行栽培と有機栽培での違い

項目

慣行栽培での位置づけ

有機栽培での位置づけ

肥料設計

化学肥料を主体とし、堆肥は土壌改良資材として補助的に使用

堆肥・有機質資材が肥料・土づくりの中心となる

価格高騰への対応

化学肥料の代替・コスト低減策の一つとして堆肥利用を検討

元々有機質資材が必須のため、安定調達源として重要度が高い

資源循環の意義

環境負荷低減・SDGs対応の付加価値として評価

持続可能な農業基盤そのものとして位置づけられる

JAいなばも、ペレット化による堆肥利用を通じて地域の有機農業を進め、持続可能な農業基盤の構築を目指すとしています。

よくある失敗と対策

  • 散布機とのミスマッチ:ペレットの粒径や硬さが既存の散布機に適合せず、目詰まりや散布ムラが起きるケースが考えられます。導入前に試験散布で適合性を確認することが重要です。
  • 需要と供給のアンバランス:設備の処理能力に対して管内の栽培面積が大きすぎる、または小さすぎると、稼働率や資材の過不足が生じます。本事例でもJA管内22戸・約150ヘクタールという栽培規模を踏まえた計画が立てられています。
  • 本格稼働までの空白期間:JAいなばの事例では2027・28年度の改修工事に合わせた本格稼働が計画されており、試験稼働から本格稼働までの移行期における資材供給体制の調整が課題となり得ます。

まとめ

JAいなばのハトムギ殻ペレット化設備は、これまで未利用だった殻を資源化し、もみ殻堆肥と混合して散布しやすい有機肥料に加工する取り組みです。肥料価格高騰を背景に、散布の省力化と土壌の物理性改善・地力増進を両立させる手段として注目されます。2027・28年度の本格稼働に向け、地域の循環型農業の基盤づくりが進む見込みです。

現場で使える!専門用語ミニ辞書

ペレット化(ぺれっとか・加工法の一種)
有機質資材や廃棄物を圧縮して粒状に成形する加工方法。粒度が均一になり、散布機での取り扱いや保管がしやすくなる。
堆肥(たいひ)
家畜ふんや植物残渣などの有機物を微生物により発酵・腐熟させた土壌改良資材。施用により土壌の物理性・生物性を改善する。
地力増進(ちりょくぞうしん)
土壌が本来持つ作物生産能力を、有機物施用や土壌改良によって高めること。持続的な収量確保の基盤となる。
土壌の物理性(どじょうのぶつりせい)
土壌の通気性・保水性・団粒構造など、物理的な性質を指す。堆肥施用により団粒構造が形成されやすくなり改善が期待される。
資源循環(しげんじゅんかん)
農業副産物や廃棄物を廃棄せずに再利用し、地域内で資源として循環させる仕組み。環境負荷低減と持続可能な農業基盤づくりにつながる。

参考

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